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フェイレン VS レイシェン



 陰陽激突



 ―――キィィィイインン!!



 ぶつかり合う、クロガネが奏でる協奏。


 目まぐるしい攻防の中で、二人の美女が宙を舞う。


 かたや槍主と、かたや扇主は、華麗にして苛烈な打ち合いを繰り広げている。
 その華麗ながら激しさを増す剣戟に合わせるかのように、会場内の熱気も上がっているようだ。


 声にならない声、ときおり溜息に似た吐息の数々。
 喜怒哀楽の全てが、此処(選定の場)にある。



 そんな群衆の見守る中、フェイレンレイシェンの戦いは続いていた。


 一見、リーチで勝る槍が有利かと思われるこの試合。

 しかし、今、試合を優勢に進めているのは、意外にも
双戦扇使いの、レイシェンであった。

 試合開始直後、先に攻めたのは、フェイレンであったが
その怒濤の如き攻めを、二つの戦扇でことごとく防ぎきっていた。


 一見すると、フェイレンの一方的な攻めに見えるが、よく見てみれば
後の先に徹しているレイシェン鉄壁の如き防御を突き崩せず
体力を消費し始めているフェイレン、という図式だ。




 ―――風撃槍の主選定、第三試合。




 『少しでも、相手に出血させれば勝利』という、新しい規定と、第三皇女との婚姻
とどのつまり、皇帝の一族に迎え入れるという破格の条件もあってか
今回の選定の儀では、未だかつてない程、多彩な武器の使い手達が集まった。


 新たに参加した、多彩な武器の使い手達は、特に今回の規定
最大限に生かせる武器を選んでいるようだ。


 優勝候補ともくされ、前回も出場した強豪達も、追加された勝利規定と
初めて相手にする特殊武器に翻弄されたのか、次々と脱落するという
波乱の展開となっている。


 フェイレンにおいても、第一試合の青龍偃月刀の使い手はともかく、第二試合で対戦した
多節鞭の派生と思われる、特殊な鞭の使い手を相手にしている。


 極めつけは、この第三試合の相手、戦扇使いレイシェンである。


 まったくの無名であった彼女もまた、数々の名のある使い手達を下し
此処まで勝ち残ってきた、異才であった。


(驚いた、これが本物の戦扇使い、か)


 フェイレンにとって戦扇の使い手は、このレイシェンが初見である。
 だからこそ、事前にレイシェンの試合を見ることができたのは幸運だったと言える。


 開いては斬撃、閉じては打撃、その上開いたは鉄のにもなるという
一対一の接近戦においては、優れた資質を秘めた武器である事を知った。


 もっとも、通常の武器ではない戦扇は、扱いが難しく
熟練するには、難度の高い武器である。


 剣や槍と違い、技を伝える門派も数少ないからだ。


 それを、二つ同時に、自分の手足の如く使いこなすレイシェン
並ではない。


 実際、フェイレンは激しく攻めてるように見えて、その実
迂闊に間合いに入らないよう警戒している。

 それ故に、攻めきれないのである。


「驚いたわ、戦扇を此処まで使いこなせる達人がいたなんてね」
「…………」


 寡黙にして、冷徹
 レイシェンは、社会の『暗部』に属する使い手のようだった。

 フェイレンのお喋りに付き合う気は、毛頭ないらしい。


(無愛想な娘ね。 折角の綺麗な顔が台無しじゃない)


 これだけの強敵を相手にして、このような感想が試合中に思い浮かぶ
フェイレンも、ある意味、只者ではないと言えるだろう。


(さて、どう攻めたモノかしら?)


 通常の攻めでは、後の先に徹し、鉄壁の防御をしながら
相手のミスを待っているレイシェンは突き崩せない。

 それは、此処までの打ち合いで得た結論であった。


(なら、この技ならどう?)



 ―――それまでとは一変し、フェイレンから必殺の気迫が放たれた。



 並の者なら、気圧されかねない裂帛の気合いを目にして
なお、レイシェンの表情は揺るがない。


 未だかつてない程の速さで踏み込み、上段に突きを繰り出すフェイレン

 回避は不可能と判断したレイシェンは、しかし、あくまで冷静に戦扇を展開し
これを防ぐ。


 しかし、防がれた瞬間に槍を反転させ、今度は中段に石突を打ち込む!

 かつて、ロンシェン広場で繰り出したあの一撃より
なお早く、鋭い連撃である。


 ガッ!


 しかし、それさえも、レイシェンは読んでいたのか防ぎきり
連撃の隙をついて、もう一方の戦扇カウンターを放とうと
する。

 だが、その瞬間、彼女の視界からフェイレンが消えていた。


(……!?)


 そう、フェイレン連撃はまだ終わっていなかった。

 石突を防がれた瞬間、彼女は地を這うようにしゃがみ
下段に突きを繰り出していたのである。


 ――されど、その最後の一撃が放たれる刹那直感的に危険を察知した
レイシェンは、後方に大きく飛び退いていたのだった。


 試合はまだ終わってないと判断した観客が、さらなる盛り上がりをみせた、その時
予想外の言葉が紡がれた。


「私の負けだ」


 フェイレンの瞬く間に放った連撃をかわしたと思われた、レイシェン
自らの負けを認めたのである。


 よく見ると、足下に一筋のが流れていた。
 そう、彼女はかわし切れていなかったのだ。


「最後の一撃にも反応された時は、正直焦ったわ。 紙一重の差ね」
「なぐさめはいらない」

 そう告げると、何事もなかったかのように、彼女は会場を後にした。

 (そんなつもりじゃないんだけどな~、何処までも冷静な娘ね)


「勝者、槍主フェイレン!」


 一瞬何事かと、静まりかえっていた観客は、審判の声に我に返り
歓声をあげる。

 その声に応えるように、手を振りながらフェイレン
待合室に下がったのであった。


 「ふう、さすがに、楽じゃないわね」


 思いの外、今までの試合での疲れがでたのか、彼女は壁に背を預けると
目蓋を閉じた。

 最後の試合を前に、しばしの休息をとるフェイレンであった。



 次章に続く。 【後書き】

思ったより難儀しましたが、10日に公開予定だった
フェイレン物語前夜 第四章を公開します。

今回は、多分、次章まで一週間程度で書けると思いますが
一応、まだ未定ということで(苦笑)

強敵との戦いを制したフェイレン。
さてさて、次章は誰と相対するのか?

次章乞うご期待!


【追記】

ブログ村へのバナーをクリックして下さいました方々へ。
どうも、ありがとうございます。

これからも、引き続き、ご支援の程をよろしくお願いします(ペコリ)


本文を一部修正しました(2008/03/08付)

本文をさらに修正してみました(2008/03/09付)

本文にさらなる修正を加え、追記を一部修正しました。
誤字を修正し、一部追記しました(2008/03/13付)

本文の一部を修正しました(2008/03/18付)


登場キャラの『レイツェン』のキャラ名を『レイシェン』に変更しました(2008/04/29付)


千 朝薙さんに頂いた挿絵イラストを、アップさせて頂きました。
どうも、ありがとうございました(2008/05/06付)


本文の一部を修正しました(2008/05/06付)

テーマ : ゲーム製作 関連 - ジャンル : ゲーム

 

コメント

今回は初の強敵ですね。
今までが強かっただけにフェイレンさん最強!とか思っていましたが
流石に楽勝、というわけには行かないんですね。。
しかし『少しでも、相手に出血させれば勝利』ですか。
私だったら一瞬でやられます♪(え

ところでこの物語って確かゲームのシナリオの一部なんですよね?
私は短編マンガくらいの短い物語しか作ったことがないので
結構長編になりそうな物語を作ろうとしているT×2さんをすごいなぁ、と思っています。
つじつま合わせるの大変そう・・・(汗)

頑張ってくださいね♪応援しています!

ではー。

千 朝薙さん、ご訪問&コメントありがとうございます♪

朝薙さん、こんばんは(ペコリ)

>楽勝、というわけには行かないんですね
はい、さすがに強者揃いの風撃槍の主
選定の儀、本戦においては、一戦たりとも
『楽』に勝ててるワケではなかったりします。

予選から、本戦第一試合~第二試合までを省略してるので
わかりにくいんですが(汗

此処で補足すると、予選はそこそこ順調に
勝ち進んでいます。

第一試合は、早めに決着がつきましたが
だからといって、相手が弱い訳でも
フェイレンが強すぎる訳でもなく
達人レベルだと、勝敗にかかった時間では
強さは計れない、みたいな感じです。

ちなみに、省略したのは、全試合まともに 書いてると
10日までに終わらなさそうだった(お のと
物語のテンポ、そして、第一試合から第三試合までで
この試合が(第三試合)一番イメージが来ていたから、だったりします。

後は、書いてみて思ったより文章量が多かったので
此処で一端、四章を終えた方が良さそうだな~なんて
判断もあったりしました。

>ゲームのシナリオの一部
ゲームのシナリオの一部というよりは
ネーミングそのまま、ゲームに登場する予定キャラの
ゲームが始まる前のお話、って感じです。

俗に言う外伝、とかそんな感じ(?)ですかね。

特に、メイナの章はゲームには組み込まない
つもりだったりしますので、よりその要素が
強いかと。

>長編になりそうな物語
ええ、予想してる文量だと、中編以上で
多分、長編に届くかと思われます。

ちょっとした伏線とかを、後で使うのは
確かに、簡単ではなさそうです(汗

まあ、でも、コツコツと気長に
出来る限り楽しみながら、進めていけたら
と、思ってます。

>頑張ってくださいね♪応援しています!
応援、ありがとうございます♪

コメントとか、拍手クリック&バナークリックは
ほんと励みになっております。

では、これからも、どうぞよろしくお願いします。

不知火舞が浮かんできました(*゚ー゚)
扇も、またカッコイイので好きですv

やっぱり、自分が作り、生み出した作品は
最後まで完成させたいですよね。
サークルのもそうですし
個人の作品もリニューアルして
新たに書きたいと思っています。

今後も、無理せずに頑張ってくださいv
楽しみにしています♪

T×2さん、こんにちは。

第四章きましたね。
今回の相手は戦扇…
特殊な武器のアクションシーンを
スッと書かれているので、すごいです。

最後の試合…ひょっとすると…
色々妄想してしまいますっ

次回、楽しみにしています。では。

ココンさん、ご訪問&コメントありがとうございます。

ココンさん、こんばんは(ペコリ)

>扇も、またカッコイイ
風撃槍の主選定の儀での、対戦相手を考えた時
漠然と、『鉄扇』とか良いかも…などと
思い浮かんだモノで、書いてみました。

まあ、最初に鉄扇が浮かんで
自分のイメージに近いのが『戦扇』だったので
その武器のイメージで、戦闘シーンを思い描いてました。

そういえば、KOFの不知火舞も扇使いでしたね。

ちなみに、不知火舞が投げる扇は
てっきり、普通のだと思ってたんですが
先程、ウィキで検索したら鉄扇らしいことが判明。

…初めて知りましたよ(遅っ!

>最後まで完成
そうですね、三賢者物語は
最後まで完成させたいと思ってます。

ただ、逆に完成させたくない(終わらせたくない)
作品もあるような気がします。

そっと見守っていたい、というか…。

>今後も、無理せずに頑張ってくださいv
>楽しみにしています♪
応援して頂き、どうも、ありがとうございます♪

無理のない範囲で、コツコツとやっていきたいと思ってます。

それで、かつ、皆様に楽しんで頂けるなら
言うことはないですね(微笑)

【追記】
コメントを修正(誤字等)しました(2008/03/10付)

チハさん、ご訪問&コメントありがとうございます。

チハさん、こんばんは(ペコリ)

>アクションシーン
戦扇で考えていたら、自然と思い浮かんできた感じでした。

第一試合~第三試合の中では、一番盛り上がる展開だったのも
この試合が、第四章になった由縁なのかも
しれません。

いろいろ先の展開を、想像して楽しんで頂けてるようで
何よりです。

作者冥利に尽きますし、何より自分の作品を
楽しみにしてくれる人がいる、ということは
凄く嬉しいですね(笑)

【追記】
タイトルを付け加えました。
コメントを一部修正しました(2008/03/09付)

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